オンライン工場見学を実施する際、「○○会社オンライン工場見学」というタイトルがすぐに思いつきます。しかしこれでは、「テーマ」がないため、参加する動機が漠然としてしまいます。幅広い動機を持った人を集めてしまうと、参加者の満足度を高めることが難しくなり、結果として「社会科見学」のような雰囲気になってしまいます。
オンライン工場見学実施時にはテーマを決め、「○○会社 オンライン工場見学 ~ テーマ名 ~」のように告知する必要があります。
工場見学というと、子どもたちがお菓子メーカーや飛行場の裏側を見学するような「普段、見ることができない舞台裏を見る」という印象があります。もちろん社会科見学として地元の子供達をオンラインで受け入れる活動は良いことです。
しかし、商談につなげるためにオンライン工場見学を活用したいと考えたとき、社会科見学のように「この部品がどう作られているのか」といった舞台裏をただそのまま見せるわけではない、というところを区別する必要があります。
目的は「テーマに関する強みを見せ、視聴者に強い印象を残す」こと、です。
オンライン工場見学で見せる必要があるのは、御社の強み(特長、他社との違い、顧客が持つ課題を解決する力)です。そして視聴者に、その分野で強い印象を残すこと。これが見込み客向けにオンライン工場見学を行う目的です。
「強み」という言葉は漠然としていますが、コトラーは次のように述べています
中小企業の特徴の一つである「短納期」なども、ケイパビリティに含まれるでしょう。
上記のように考えても良いですし、わたしはシンプルに「顧客の課題を解決する力」と考えています。特にBtoB企業の場合、相手が法人である以上、その先にもまた顧客が存在します。みなさんの顧客である企業は、その企業の顧客のために「責任」(品質、納期、コストなど)を果たさないといけないのです。
その中で、多くの課題に直面しています。その課題を、御社の技術/サービスはどのように解決してあげられるでしょうか?「課題解決する力」に企業の特徴や強みがあると考えています。
強みを表現するためには、「何が強みを作っているのか」を分解して考えることが助けになります。強みを構成する要素として、技術要因と、マネジメント要因を考えてみます。 例として、熱処理業M社の「熱処理を短納期で対応する」という強みについて考えてみましょう。
技術要因 | マネジメント要因 |
---|---|
技術要因というのは、人の技術や設備の能力が、強みを作り出しています。 ●M社では、営業の方も熱処理の技能士資格を保有しています。品物を引き取りにいく営業担当者がその場で顧客と課題を話し合ったり、熱処理条件などを詰めることができます。→短納期に貢献 ●熱処理というのは、処理時間が必要です。短納期で対応するために、新しく来た案件を次々処理しないといけませんが、前の品物が熱処理中であれば、それが終わるのを待たなければいけません。そこで小型炉を複数設備し、小回りよく熱処理を行っています。→短納期に貢献 | マネジメント要因は、その管理体制が強みを作り出している要因です。 ●独自のトレサビリティシステムを構築。見積書、顧客からの条件、熱処理の各工程での進捗状況や納期などを各人がスマートフォンから確認できます。品物の品質・納期管理を容易にしています。→短納期に貢献 |
技術要因、マネジメント要因を分解していくと、オンライン工場見学で何を見せ、何を説明しないといけないかが、見えてきます。 上記のケースでは、
などを説明する必要があります。全ての情報が「短納期」というコンセプトのために組み立てられ、参加者に情報として提供されます。
このように、自社の強みを「強み足らしめている」ことを、プレゼンテーションすることが、見込み客向けオンライン工場見学の目的です。そのためには強みを技術要因とマネジメント要因に分解してみて、「何を伝えないといけないか」を棚卸ししてみましょう。
オンライン工場見学の企画シートは、強みを技術要素とマネジメント要素に分解し、実際の工場見学で何を見せるか検討することに役立ちます。
このキャッチコピーを工場見学のテーマとして既存客または見込み客向けに提供すると良いでしょう。
自社のオンライン工場見学のテーマを決めたら、どのように参加者を募れば良いでしょうか。過去のつながりがある企業にメールで告知する、プレスリリースを活用する、自社Webサイトで告知するなどが考えられます。
ここで重要な役割を果たすのが自社Webサイトです。オンライン工場見学のテーマが決まりましたら、そのテーマに関するコンテンツを自社Webサイトの中に充実させます。
そのコンテンツからオンライン工場見学に参加申し込みできるようにします。Webサイトに情報を公開してもすぐに見込み客は集まりませんから、決まったテーマのオンライン工場見学を「3ヶ月に一度」など定期開催し、継続的にWebサイトから集客できると良いでしょう。
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